企業を、そして人を守る。企業課題の総合クリニック【株式会社TWINKLE STARS:松川倫子さん】

「旅じゃありませんか、誰だって人間の生涯は」━━。

明治から昭和にかけて活躍した作家・島崎藤村の言葉がある。

人生を旅に例える名言は藤村の他にも数多くあり、幾人もの先人が言葉を遺してきた。人生が旅であるならば、「北」を指すコンパスが必要だ。道に迷わぬように、どこへ向かっているのかを忘れぬように、わたしたちの旅路を守るためのコンパスが。

彼女のコンパスはずっと変わらず「企業と人」を指している。株式会社TWINKLE STARS代表取締役、松川 倫子。これまでのキャリアは多岐に渡り、金融、経理、接客、営業、デザイン、人事、広報など、主に秘書やマネージャーとして日々最前線で戦う社長や社員を守る「守りの経営」で手腕を発揮してきた。

「経営者や社員の方々にとって羅針盤となる『コンパス』をつくり、人と組織をとことん守っていきたい」と語る女史。その原点と今後の展望に迫った。

株式会社TWINKLE STARS 代表取締役
松川 倫子

大学卒業後、日本長期信用銀行(現:新生銀行)に就職。その後ホテルでの接客の仕事へ転職し、海外の方とのコミュニケーションの中で外国語を習得。次の転職では靴のアパレル会社で社長秘書として経理、営業、デザインなどの領域でマルチに活躍。外資系製薬会社に移ってからは、語学を生かし秘書をしながら人事労務・採用関係も担当。その後のキャリアでもマネージャー職や広報業務を担当し、「守りの経営」で手腕を発揮。2019年10月に「自らのコンパス(compass)とともに活きる」をスローガンとし、多様な価値観が『個』を最大限に輝かせる社会を目指して、人材活用支援と企業革新支援に取り組む株式会社TWINKLE STARSを立ち上げ現職へ。

「攻めの経営」を支える「守りの経営」のプロフェッショナル

━━人と組織にとことんこだわるようになった経緯について教えてください。

松川:これまでのお仕事では、ビジネス最前線で闘う社長や役員、社員の方々を守り、サポートする役割が多かったです。お勤めした会社の多くは営業職の強い大手企業であったり、創業間も無いベンチャー企業でした。みなさんとても勢いのある方々で「攻めの経営」のプロフェッショナルが揃っています。しかし、一方で「守り」の部分は弱いところがあり、私は主にその部分をサポートしてきました。

━━「攻めの経営」を支える「守りの経営」、ですか。

松川:「守り」の部分はとても大事です。特に秘書や広報を担当した際にそれを痛感しました。私が勤めていた会社では「役員の出世は秘書の腕次第」といった文化があり、彼らの日々の多忙なスケジュールをいかに上手く回すかや、迅速かつ丁寧にお客様とコミュニケーションを取れるかが問われました。当時のビジネスは戦場でしたから、彼らが最高のコンディションで臨めるようサポートすることがビジネスの成否に直結したんです。

また、広報の役割を担った際は会社と社会、顧客との関係性を重視しました。企画の方がどれだけ良い商品やサービスをつくり、営業の方がどれだけ多くを売り、社長が会社のブランドを育て上げても、悪評ひとつで全てが吹っ飛んでしまうんです。組織の顔として普段からどのような情報発信をするか。会社のブランドとそこで働く人たちの尊厳を守ることを意識し、日々取り組んでいました。

━━そうした経験が今のお仕事につながっているんですね。

松川:そうです。ありがたいことに、弊社はお客様から「企業の総合クリニックだね」と評価いただいており、課題が大きくなる前に対処する、"予防医療"のようなサービスを提供してきました。昨年新たに立ち上げたサービスである「バリュサポプラス」はまさにそうで、事業戦略から組織面・業務改善・人材育成といった領域で戦略から実務までビジネスの伴走支援を行っています。

また、社外CMO(Chief Management Officer)として、組織のコンパスであるMVVを大事にしながら、オーダーメイドのマネジメント手法を組み上げ中間管理職クラスのバリューを高める「バリューアップマネジメント」もリリース。組織と個人との板挟みになりがちな中間管理職を支援し、会社における自身の存在価値や存在意義を高め、ウェルビーイングへと導いていくサポートも行っています。

会社はもちろん、中の人も守り抜く

━━組織にとっての「コンパス」とは、どういったものでしょうか。

松川:会社組織においては、何のために存在し、何を目指し、どういった価値を社会に提供していくのかといった、自社の存在価値や存在意義を言葉にしたMVV(Mission,Vision,Value)が"コンパス"にあたります。当社では、それらが絵に描いた餅で終わらないよう、行動指針であるCredo(クレド)を一緒につくって育てていく「マイスタイルクレド」というサービスも提供しています。

━━MVVをつくったは良いものの、なかなか浸透しないといった課題を抱える企業さんの話をよく聞きます。

松川:現場の方々が使いやすい仕組みになっていないことが多いですね。背景には、MVVが社内の人事評価に直結していなかったり、社員個々人の"コンパス"とズレが生じていたりといった問題があります。だからこそ、私は会社のMVVだけではなく、個人にとっての人生のMVVも大事にしてきました。

━━それがTWINKLE STARSのスローガンである「WITH OWN PHILOSOPHY​~自らのコンパス(compass)とともに活きる~」に込められていると。

松川:そうです。経営者も社員も一個人。それぞれが持つ"コンパス"から出発することを大事にしています。

会社経営はあくまで人生を歩んでいくためのツールの一つに過ぎません。VUCAの時代といわれる昨今、会社の寿命は人間の寿命より短いとされています。もし仮に会社が倒れたとしても、そこで人生は終わりません。人生は続いていくんです。

会社が自分の人生そのものだと考える経営者は多いですし、生涯をかけて全力を尽くす姿勢はとても素晴らしく尊いこと。しかし、もし何かの理由で会社が無くなった場合、一緒に倒れてしまう経営者も多いんです。私は組織はもちろん、働いている人たちも余さず守りたいと思っています。

掛け算の時代、「個」が輝く社会を

━━松川さんとGRANDSLAMについて聞かせてください。

松川:TWINKLE STARSを創業し、2019年にSNSを始めました。そこからさまざまなご縁をいただき、GRANDSLAMに出会いました。

ここには色んな方々が集まります。代表のりょうさんをはじめ、石澤さんや創業期にいらっしゃった正田さんなど、彼らからはたくさん勇気をもらいました。今でも私にとってGRANDSLAMは「ただいま」と言える場所です。ここが出発点であり、帰って来られる場所なんです。

━━創業期からGRANDSLAMに関わってくださった松川さんにそう言っていただけると嬉しいです。今後の展望などがありましたらお聞かせください。

今後は私を生かしてくれた大好きな場所を、もっともっと豊かにしていきたいです。一人だとできることは限られているけれど、ここにいるみんなと協力すれば困難なことだって乗り越えられる。これまで私を照らしてくれたこの場所で、今度は私が色んな"星"を輝かせるお手伝いができれば嬉しいですね。

(文、写真:中野 広夢)

・株式会社TWINKLE STARS(HP)
https://twinklestars.co.jp/

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この記事を書いた人

中野 広夢(Nakano Hiromu)

近畿圏を拠点として活動している編集ライター、カメラマン。大阪・福島のコワーキングスペースGRANDSLAMのコミュニティマネージャー。不登校児童生徒向けのオンラインフリースクールchoiceの共同代表/講師。大学卒業後、小学校教諭、塾講師、保育士を経験。2019年からは合同会社hyphenに転職し、コワーキングスペースmocco姫路スタッフ、コワーキングスペースmocco加古川の立ち上げに関わり、コミュニティマネージャーとして活動。その後兵庫県播磨地域の情報誌『まるはり』の編集・取材フォトライターを経て独立。2024年3月より現職。

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